『ダンスはうまく踊れない』のルーツを辿ると、稀代のシンガーソングライター・井上陽水の私情あふれるエピソードに行き着きます。この楽曲はもともと、1977年に歌手の石川セリへ提供されたナンバーでした。当時、まだ結婚前だった石川セリの気を引くために、井上陽水が目の前でわずか数十分の間に書き上げたという逸話は音楽ファンの間でも有名です。
原曲の石川セリ版は、アンニュイでジャジーな大人の気だるさを漂わせる名作として高い評価を受けました。それから5年後の1982年7月21日、女優として頭角を現していた高樹澪の4枚目シングルとして大胆なアレンジとともにカバーされることになります。
高樹澪版のアレンジを手掛けたのはチト河内。哀愁を帯びたベースラインとドラマチックなストリングスを前面に出し、高樹澪のハスキーかつ繊細なウィスパーボイスと融合させたことで、原曲の魅力をさらに引き出したポップスへと生まれ変わりました。