結論から言えば、戦後の制度発足から現在に至るまで、審査によって罷免された裁判官は一人もいない。歴史上、最も不信任率が高かった事例でも15%程度にとどまる。辞めさせるためには有効投票の過半数から「×」を集める必要があるため、ハードルは極めて高い。
総務省や中央選挙管理会が公表する過去の投開票データを見ると、不信任率の平均はおよそ6〜9%前後で推移している。この数字を見て「どうせ変わらない」「形骸化した制度だ」と切って捨てるのは簡単だ。だが、本当にそうだろうか。
近年、司法を巡る環境は大きく変化した。かつては「在外邦人が国民審査に参加できないのは違憲」とする大法廷判決が下され、法改正を経て海外からの投票が可能になった経緯がある。国民審査の制度自体が、国民の訴えによってブラッシュアップされてきた事実は見逃せない。