劇場公開されたダンボ (1941年アニメ映画)は、戦時下の緊張が走る時代において、低予算かつ短期間で制作された意欲作であった。しかし、その表現手法は今日的な倫理観の視点からも興味深い課題を提示している。
作中で描かれるサーカスの象たちの排他的な態度は、現代でいうルッキズムの外在化に他ならない。外見の異質さだけで個人の価値を否定する態度が、いかに愚かであるかをアニメーション映画ならではのデフォルメで痛烈に風刺している。ファンタジー映画の枠組みを借りながらも、現実社会に蔓延するルッキズムの闇を鋭く突いている点は見逃せない。
一方で、カラスたちの描写をめぐる人種的ステレオタイプの問題など、作品には歴史的限界も刻まれている。ダイバーシティの概念が浸透した現代において、1941年版は「差別を描きつつも時代の偏見から逃れきれなかった作品」として、多角的な議論の対象となっている。