エルレのライブハウスやアリーナのフロアは、一見すると過酷で荒々しい。次々と人が頭上を転がり、肩と肩が激しくぶつかり合う。しかし、その渦中には不思議なほど優しさと秩序が存在する。
誰かが倒れれば、周りの人間が瞬時に腕を伸ばして引き上げる。落とし物があれば高く掲げられる。激しいモッシュの真ん中で、見知らぬ同士が笑い合い、ハイタッチを交わす。日々の仕事や学校で抱え込んだストレス、将来への不安、言葉にならない鬱屈。それらすべてを爆音の中に投げ出し、汗と一緒に洗い流す。あのカオスの中にこそ、彼らなりの「救済」が確かに存在している。