試合が動いたのは7回裏、静寂を破る一打が放たれた瞬間だった。疲れが見え始めたピッチャーのわずかな甘いフォークボールを、横浜高校のクリーンアップが逃さず捉える。快音を残した打球はライト線を破り、二塁走者が一気にホームへ駆け込んだ。ついに均衡が破れた瞬間、横浜スタンドは歓喜の渦に包まれた。
だが、沖縄尚学もそのまま沈むチームではない。8回表、先頭打者が粘って四球を選ぶと、犠打とエンドランを絡めて一気に一死三塁のチャンスを作り出す。アルプススタンドから響く指笛が球場全体を包み込み、独特の空気を生み出した。一打同点の場面、相手ピッチャーが投げ込んだ渾身の外角直球。打者のバットは空を切った。紙一重の勝負を分けたのは、まさに「たった一球」の精度と度胸だった。