今、密かに議論を呼んでいるのが、10円硬貨の「原価」問題だ。10円玉の成分は青銅。銅が95%、亜鉛が3〜4%、スズが1〜2%という配合で作られている。
世界的なEV(電気自動車)の普及やAIデータセンターの増設に伴い、電線や基板に不可欠な銅の国際価格は急上昇を続けている。これにより、硬貨に含まれる金属そのものの価値が、額面である10円に迫る、あるいは上回るのではないかという議論が現実味を帯びてきた。
法律上、硬貨を溶かして金属として売却することは硬貨等潰損等取締法によって厳しく禁止されている。違反すれば懲役や罰金が科される犯罪だ。しかし、金属としての価値が額面を上回る「逆ざや」現象は、通貨制度の安定性を維持する造幣局にとっても頭の痛いテーマとなっている。