世界最大の医学文献データベースPubMedを検索すると、ダウン症に関連する研究論文の質と量は近年著しく変化していることがわかる。単なる症状の観察記録にとどまらず、認知機能を保護する化合物や、アルツハイマー病に似た脳内変化を予防するための創薬研究が多数発表されている。
こうした研究を後押ししているのが、急成長を遂げる医療・バイオテクノロジー産業の技術革新だ。RNA干渉や精密な遺伝子編集技術の応用により、ダウン症に伴う心臓疾患や認知機能低下のリスクを低減させる具体的な薬物療法の開発が進む。完全な「完治」を目指すのではなく、ダウン症を持つ人々が健やかに長く生きるための症状改善研究が、今まさに実用化の域へと近づいている。