古畑任三郎で魅せたニヒルな警部補役に至る前、彼のキャリアにおける大きな転機となったのが、TBS系ドラマ『パパはニュースキャスター』だった。それまでの田村正和といえば、重厚な時代劇や陰のある二枚目役が中心であり、どこか浮世離れした美男子というパブリックイメージが定着していた。
しかし本作で、突然3人の娘の父親になる独身のニュースキャスター役を好演。ニヒルな美貌はそのままに、子供たちに振り回される右往左往の滑稽さを洗練されたコメディセンスで表現してみせた。美しさを崩さずにコミカルな芝居を完璧に成立させるこの高度な演技アプローチは、日本のテレビドラマ界に新鮮な衝撃を与え、彼の役柄の幅を飛躍的に広げることとなった。