2014年2月6日、日本中が息を呑んだ記者会見が開かれました。登壇したのは、桐朋学園大学で非常勤講師を務めていた作曲家の新垣隆氏です。新垣氏は、佐村河内守氏の名義義刺された楽曲群を18年間にわたりゴーストライターとして代作していた事実を公表しました。
会見で記者の質問が集中したのは、佐村河内氏の聴力についてでした。新垣氏は「耳が聞こえないと感じたことは一度もありません」と明言し、普段から口頭で普通に会話を交わし、録音した音源を聴かせながら制作の指示やディスカッションを行っていた実態を証言しました。これが、世間を欺き続けていた「現代のベートーヴェン疑惑」に決定的な打撃を与えた瞬間でした。
それまでテレビ番組やドキュメンタリーで報じられていた「闇の中で音を失いながらも、頭の中に鳴り響く音を五線譜に刻む苦難の天才」という偶像は、綿密に演出された虚構であったことが露呈したのです。