柳楽優弥の評価を決定的なものにしたのが、続編『銀魂2 掟は破るためにこそある』のメインエピソードである「真選組動乱篇」だ。妖刀・村麻紗の呪いによって、気高い武士から一転、美少女フィギュアとアニメを愛する気弱なオタク「トッシー」へと変貌してしまう難関のシークエンスである。
画面に現れたトッシーは、それまでの冷徹な土方とは完全に別人の身体言語を放っていた。内股で背中を丸め、甲高い声で早口に喋り、手の指先を小刻みに震わせながらアイドルへの愛を叫ぶ姿は、カンヌ俳優のパブリックイメージを木っ端微塵に打ち砕く衝撃を与えた。特筆すべきは、「土方十四郎の自我」と「トッシーの人格」が体内でせめぎ合う葛藤の描写である。
煙草に火をつけようとする副長の手を、トッシーの臆病な指先が押し戻す。誇りを保とうとする眼差しが、一瞬で怯えの色へと濁る。このミクロ単位の表情筋のコントロールと肉体表現は、ギャグシーンでありながら見る者を圧倒する凄みすら漂わせていた。ただの誇張されたモノマネではなく、精神の乖離を演じ分ける高度なドラマツルギーがそこには存在していた。