真瀬樹里のアイデンティティを語る際、両親の存在を切り離すことはできない。かつて東映の看板スターとして一世を風靡した千葉真一と、知的で気品あふれる名女優・野際陽子。二人が結ばれたことで誕生した彼女は、幼少期から映画の撮影現場や稽古場に囲まれて育った。
だが、偉大すぎる両親の存在は時として過酷なプレッシャーとなった。周囲からの「二世」という偏見を跳ね返すため、彼女が選んだのは徹底的な自己鍛錬の道だった。日本舞踊、ピアノ、バレエ、そして極真空手や居合道。血のにじむような修練を重ねることで、親の七光りではなく一人の表現者としての実力を証明してみせたのだ。
2017年の母・野際陽子の他界、そして2026年の父・千葉真一の急逝。立て続けに両親を見送るという深い悲哀のなかにあっても、彼女は気丈に振る舞い、母の追悼ドラマで若き日の野際陽子役を見事に演じきって世間に大きな感動を与えた。