この地を語る上で欠かせない歴史的背景がある。1951年に公開された日本初の長編総天然色(カラー)映画『カルメン故郷に帰る』だ。松竹株式会社が製作を手掛けた名作であり、巨匠・木下惠介監督がメガホンをとった。主演を務めた女優の高峰秀子が見せた伸びやかな演技と、色鮮やかな牧場の風景は、当時の人々を驚嘆させた。
邦画・クラシック映画の金字塔として輝く本作のロケ地こそが、この場所である。スクリーンに映し出された青い空と緑の草原の対比は、日本の映画産業に革命をもたらした。今もなお、映画ファンが作中のロケーションを特定しようとカメラを手に巡礼に訪れる。映画が放つ昭和モダニズムの情緒は、時代を超えてこの地に息づいている。