モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した映画『悪人』で見せた、人間の業と愛の深淵を抉り出すような演技は、彼女のキャリアにおける到達点の一つとなった。人間の複雑な内面を丁寧にすくい上げるヒューマンドラマにおいて、深津絵里の右に出る表現者はそう多くない。
近年では、Netflixをはじめとするグローバルな配信プラットフォームが台頭し、映像表現の幅はかつてない広がりを見せている。地上波ドラマや映画館という従来の枠組みを超え、より重厚で挑戦的なストーリーテリングが求められる時代において、彼女のような本物の演技力を持つ役者への待望論は高まるばかりだ。私生活で培われた静かで深い精神性が、今後の映像世界でどのように結実していくのか、期待は尽きない。