スケープゴートという言葉は、古代の宗教儀式で共同体の罪や穢れを背負わせて荒野に放たれた「贖罪の山羊」に由来します。現代の社会心理学においてこの現象は、集団内の不安、フラストレーション、あるいは誰かの無能さから目を背けるために、特定の個人へ不満や罪を転嫁する集団的防衛機制として分析されます。
組織や家族の中で不都合な問題が発生した際、根本原因を追究して改善を図るには多大なエネルギーと痛みが伴います。そこで未熟な集団は、手っ取り早く結束を保ち緊張を解消するために「あいつのせいで全てが狂った」と共通の敵を作り出します。ひとたび身代わりに仕立て上げられると、論理的な正論は通じなくなり、あらゆるトラブルがその人物の責任として処理される悪循環に陥るのです。