「指パッチン芸人といえば誰か」という問いに対して、演芸ファンの大多数が即座に挙げる名前がポール牧です。タキシードに身を包み、「バチン、バチン」と小気味よい音を響かせながら間合いを取る姿は、昭和レトロ芸人の代名詞としていまなお語り草になっています。
北海道天塩郡雄信内(現在の中川郡美深町)の寺院に生まれたポール牧は、上京後に浅草のストリップ劇場や演芸場の下積みを経て、コントコンビ「ラッキー7」を結成。相方の関武志とともに人気を博しました。トレードマークとなった指パッチンは、もともと舞台上でテンポを作るための癖から発展したもので、指を鳴らしながらコミカルな動きを挟む独自のスタイルを確立。1980年代から1990年代にかけて数多くのバラエティ番組へ出演し、国民的人気を博しました。
人情味あふれる性格でも知られ、数多くの弟子を育てたことでも有名です。のちにオフィス北野へ移籍してタレントや映画監督として大成するダンカンをはじめ、多くの門下生が彼の元から巣立っていきました。また、晩年には得度して僧侶の道を歩むなど、その経歴は波乱に満ちていました。