「見た目はそこそこ綺麗なのに、相場の半額近い10万円で出品されている」――そんな格安個体に遭遇した際、飛びつく前に立ち止まる冷静さが求められます。ハンマーナイフモアが他の草刈機と根本的に異なるのは、膝丈以上の硬い雑草だけでなく、小石や木の枝、時には地面そのものを高速回転する刃で叩き切るという、農業機械のなかでも群を抜いて過酷な負荷環境で使用される点です。
これこそが、ハンマーナイフモア故障しやすい決定的な理由に直結しています。特に格安で手放される個体の多くは、前オーナーが「修理見積もりを取ったところ、修理代が10万円以上かかると言われて手放した」ケースが珍しくありません。
格安個体に潜む代表的なトラブルの筆頭が、回転軸(メインローターシャフト)の歪みです。太い切り株や隠れた大石を高速回転中に巻き込むと、強靭な鋼鉄シャフトであってもわずかに狂いが生じます。軸がブレたまま回転させると激しい異常振動が発生し、ローターベアリングを瞬く間に粉砕。最終的にはハウジング(機体フレームの刈刃室)を内部から叩き壊してしまいます。このシャフト交換とベアリング打ち替えをプロに依頼すると、部品代と工賃だけで8万〜12万円以上の出費を覚悟しなければなりません。
さらに、刈刃室の内壁が小石の跳ね上げによって摩耗し、鉄板に穴が空いている事例も多発しています。泥や油汚れで隠されたフレームの亀裂や穴あきを見落とすと、作業中に小石が作業者側へ飛び散る危険な状態に陥ります。外見の塗装だけをスプレーで綺麗に仕上げた「見かけ倒しの格安品」には、こうした高額修理を要する地雷が潜んでいると認識しておくべきです。