都市化が進む一方で、隣人の顔すら知らない生活が当たり前になった現代日本。誰かと話したいけれど、過度な人間関係のしがらみは避けたい。そんな矛盾した現代人の心理に、この新しい空間モデルは見事に応えてみせた。
建物に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは大きな木製テーブルだ。ここでは誰も肩書きを名乗る必要がない。IT企業のエンジニアが近所の高齢者とお茶を飲みながら世間話を交わし、隣ではフリーランスのデザイナーが静かに作業を進める。かつて日本の農村にあった「母屋」が持っていた、開かれた包容力が現代の都市空間に見事に復権している。