一見すると、すれ違う男女の他愛ない会話劇のようにも受け取れる『ハロー・グッドバイ』の歌詞ですが、英語の歌詞解釈を掘り下げると、ポールが意図した本質的なテーマが浮かび上がってきます。
冒頭の歌詞を直訳すると「君はイエスと言い、僕はノーと言う/君は止まれと言い、僕は進めと言う」。対立する二つの概念が延々と提示されますが、曲全体のムードは決して険悪ではなく、どこか祝祭的で晴れやかです。ポール自身、後年のインタビューでこの歌詞の意味について次のように語っています。
「人生における二面性を歌ったものなんだ。白と黒、男と女、出会い(Hello)と別れ(Goodbye)。物事には必ず両面があり、一見対立しているように見えても、双方は常に共存し、巡り巡って一つに調和している」
1967年というサイケデリック・ムーブメントの真っ只中で、インド哲学や瞑想に傾倒していた当時のビートルズの空気感が、ポールの卓越したポップセンスによって「誰もが歌える童謡のような形式」へと凝縮されたものと解釈できます。別れを告げた瞬間から新たな出会いが始まるという、人生の肯定的な循環をシンプル極まりない言葉で表現した点に、この楽曲の真価があります。