サニスタンドが歴史上もっとも華やかな脚光を浴びた舞台が、1964年の東京オリンピックでした。メイン会場となった旧国立競技場のスタンド下トイレに、女性観客の混雑緩和を狙って約100基ものサニスタンドが一挙に導入されたのです。
世界中から集まる観客をスムーズに誘導するための画期的な試みとしてメディアでも紹介されましたが、大会期間中も多くの女性観客が使い慣れた通常個室に並び、サニスタンドは閑散としていたという記録が残されています。
その後、施設改修とともに大半が撤去されましたが、旧国立競技場の解体直前まで一部の設備が残されていたほか、福岡県北九州市にある「TOTOミュージアム」には当時の実物が貴重な歴史遺産として展示・保存されています。昭和レトロ建築の愛好家やマニアの間では、幻の珍品遺構として今なお熱狂的な関心を集めています。