ジャムの物語を振り返るうえで欠かせないのが、アニメーション作家・伊藤有壱氏の存在です。本作で一躍その名を轟かせた伊藤監督は、その後も『ニャッキ!』の湯崎夫沙子氏らとともに日本のクレイアニメ界を牽引してきました。
伊藤氏は現在、株式会社I.TOONの代表を務めるとともに、東京藝術大学大学院映像研究科の教授として後進の育成にも尽力。国内外の映画祭で審査員を務めるなど、ストップモーション・アニメーション界の重鎮として確固たる地位を築いています。CM、ミュージックビデオ、オリジナル短編など多岐にわたる作品を発表し続けていますが、その造形哲学の根底には常に『ジャム・ザ・ハウスネイル』で培われた「素材への敬意」と「触感の表現」が生きています。
CGやAIによる映像生成が飛躍的に進化した2026年のデジタル全盛期だからこそ、職人が指先で一コマずつ粘土を動かして生命を吹き込んだジャムの軌跡は、奇跡のような手仕事の遺産として再評価の機運を高めています。