肝炎の完治からしばらく経った2009年頃、伍代さんの喉に新たな異変が生じ始めました。日常会話は何不自由なくこなせるにもかかわらず、歌おうとすると喉の筋肉が硬直して声が詰まり、思うような発声ができなくなったのです。
当初は「加齢による衰え」や「過度な疲労」を疑い、数多くの耳鼻咽喉科やボイストレーナーを巡る日々が続きました。しかし喉の粘膜自体にポリープなどの異常は見つからず、原因不明のまま時間だけが経過していきました。歌うたびに声が裏返る恐怖から、一時はマイクを持つことさえ恐ろしくなり、歌手引退を本気で考えたこともあったと明かしています。
長年のドクターショッピングの末に下された診断が、局所性ジストニアの一種である痙攣性発声障害でした。これは発声時に意思とは無関係に声帯筋が痙攣・収縮してしまう神経疾患です。病名が判明したことで伍代さんは腹をくくり、声帯へのボツリヌス毒素(ボトックス)注入治療や発声方法の根本的な見直しに着手。自身の病気と正面から向き合い、時間をかけて歌声を取り戻していきました。