百貨店や高級スーパーで「A5ランク飛騨牛」を買い求めようとすれば、100gあたり2,000円から3,000円を超えることも珍しくありません。しかし、岐阜県養老町の精肉店である養老ミートに足を運ぶと、同等以上の霜降り肉が半額近い卸売価格でショーケースに並んでいます。この圧倒的なコストパフォーマンスはどのようにして成り立っているのでしょうか。
最大の理由は、競りから解体、加工、小売り、外食卸までを自社グループで完結させる「一貫流通システム」にあります。一般的な精肉流通では、家畜市場から食肉公社、仲卸業者、加工業者、販売店へと肉が渡るたびに中間マージンと輸送コストが上乗せされます。養老ミートは岐阜県食肉市場などの競り権を持ち、選び抜いた牛を一頭丸ごと買い付けるため、流通コストを極限まで削ぎ落とすことができるのです。
さらに、一頭買いによって生じる「希少部位」や「端材」を自社の加工品や直営飲食店、外食卸ルートで余すことなく活用する技術と販路を持っています。これにより廃棄ロスが実質ゼロとなり、サーロインやヒレといった花形部位の単価を限界まで引き下げる好循環を生み出しています。
養老町一帯は「養老焼肉街道」と呼ばれる焼肉店の密集地帯としても知られています。昭和の高度経済成長期から培われた食肉処理と流通の集積地であるという地理的優位性も、他地域では真似のできない圧倒的な仕入れ力と鮮度を支える決定打となっています。