おソノさんのパートナーである夫・フクオは、劇中ではほとんど言葉を発しない無口なパン職人として描かれています。公式設定における彼の年齢は30歳。筋骨隆々のたくましい体格と職人特有の鋭い眼光を持ちながら、キキのために魔女の看板パンを密かに焼き上げたり、壁に向かって密かにウインクの練習をしたりと、極めて不器用で温かい人柄が随所に散りばめられています。
原作小説『魔女の宅急便』の特別編や関連書籍で明かされている2人の馴れ初めは、映画本編の落ち着いた雰囲気からは想像もつかないほど情熱的です。若かりし頃のおソノさんは、街中を軽快に駆け回る非常に活発で行動力に満ちた女性でした。一方でフクオは、修行に明け暮れる生真面目そのものの青年職人。対照的な2人でしたが、おソノさんがフクオの誠実さとひたむきさに惹かれ、彼女の方から猛烈なアプローチを仕掛けて結婚に至ったというエピソードが伝えられています。
グーチョキパン店という個性的な店名も、この夫婦のユーモアと親しみやすさを象徴しています。お互いの性格を熟知し、多くを語らずとも視線ひとつで意思疎通を図る夫婦の信頼関係は、親元を離れたキキにとって「他者と共に生きる成熟した大人のモデルケース」として機能しています。