老境に入った彼が世界的な再評価を得た最大の転機は、新鋭スタジオA24が手掛けた2019年の心理ホラー映画『ミッドソマー』への出演である。監督のアリ・アスターは、白夜の村で行われる凄惨な儀式の犠牲者となる長老ダン役として、他ならぬビョルン・アンドレセンを熱望した。
断崖絶壁から飛び降り、顔面を打ち砕かれるという衝撃的な最期を遂げる老人を演じた彼の凄絶な佇まいは、観客に強烈なトラウマと不可逆な感銘を与えた。かつて「絶対的な美の象徴」として映画史に刻まれた男が、半世紀の時を経て「グロテスクで圧倒的な死の象徴」としてスクリーンに舞い戻ったのだ。アリ・アスターの熱烈なラブコールに応えたこの演技は、彼のキャリアにおける見事な復讐であり、同時に芸術的再生の瞬間でもあった。