岩橋山という山名の由来であり、登山者の探求心をくすぐるのが「久米の岩橋(くめのいわはし)」伝説です。『日本霊異記』などの古典にも記されているこの物語は、修験道の開祖である役行者が、葛城山から吉野の金峯山へ参詣するための石橋を架けようとしたことに端を発します。
役行者は諸国の神々を使役して工事を進めようとしましたが、葛城山の一言主神(ひとことぬしのかみ)は自らの容貌の醜さを恥じ、夜間しか作業を行いませんでした。これに怒った役行者が神を呪縛したため、橋は未完成のまま放置されたと伝えられています。山頂近くの登山道沿いには、この伝説を裏付けるかのように「久米の岩橋」と刻まれた巨岩や、人がすれ抜けることができる「胎内くぐり」の大岩が鎮座しています。神話の世界と地質学的な巨石景観が交錯するこの場所は、現代の登山道における屈指のパワースポットとして親しまれています。