2026年4月に殺人および覚醒剤取締法違反の罪で逮捕された須藤被告の公判は、日本の裁判史上でも極めて異例の展開をたどってきました。最大の争点は、「被告が野崎氏に覚醒剤を摂取させた直接証拠(目撃証言、指紋、凶器など)が存在しない」という点です。
検察側は、以下の状況証拠を積み上げて有罪を立証する方針を貫きました。
・事件前に須藤被告がスマートフォンで「覚醒剤 入手」「完全犯罪」などの検索を繰り返していた履歴
・田辺市内で密売人と接触したとみられる位置情報や通信記録
・野崎氏の死亡推定時刻に、自宅内で二人きりの状況にあった事実
これに対し弁護側は一貫して無罪を主張。「野崎氏自身が誤って覚醒剤を摂取した可能性や、第三者の関与を排除できない」「検索履歴は興味本位に過ぎない」として、状況証拠のみでの有罪認定は許されないと反論しています。裁判員裁判における心証形成と、間接証拠の連鎖が「合理的な疑いを超えた証明」と認められるかどうかが、判決を左右する最大の焦点となっています。