西郷隆盛の写真の話題で必ず浮上するのが、いわゆる「フルベッキ写真」を巡る真偽論争です。オランダ出身の宣教師グイド・フルベッキを囲むように多数の武士が写っている古写真で、オカルトや陰謀論の文脈で「明治維新の志士たちが一堂に会した秘密写真であり、中央に西郷隆盛や坂本龍馬、高杉晋作が写っている」とネット上で広く拡散されました。
しかし、近年の歴史研究および史料調査によって、フルベッキ写真の正体は完全に解明されています。
この写真は慶応4年(1868年)または明治元年、長崎の洋学校「致遠館(ちえんかん)」で撮影された教員と佐賀藩・中津藩などの学生たちの集合写真です。写っている人物の氏名も詳細な名簿調査によって特定されており、西郷隆盛や坂本龍馬といった幕末の主役たちが写っているという説は、完全な歴史的誤認(俗説)であることが確定しています。