ファッションやビューティの現場でも、この現象は顕著だ。ここ数年猛威を振るっている「ウェットスタイル」のトレンドは、もはやヘアオイルの域を超え、メイクやファブリックのテクスチャーにまで波及している。
今年の東京ファッションウィークやパリのランウェイを席巻したのは、まるで夕立に遭った直後のようなシームレスな「ディープ・ウェット」テクスチャーだ。マットで重厚な冬の素材に、濡れたような光沢を持つインナーやヘアデザインを合わせるコントラスト。洗練と野生の同居。完璧にセットされた髪型よりも、雨粒を吸った無造作な毛束が描く影の方が、見る者の情動を揺さぶる。ビジュアル表現の最前線で戦うクリエイターたちは、水滴が光を反射して生まれる「偶然のコントラスト」を意図的に演出に取り入れている。