いろは坂を登りきり、住宅街の静寂を進んだ先にあるのが、ファンにとって最大のハイライトである「桜ヶ丘四丁目ロータリー」だ。劇中では骨董品店「地球屋」が建っていた場所のイメージとして知られ、中央の緑地帯を囲むように美しい円形道路が広がっている。
実際には「地球屋」という建物そのものは存在しない。しかし、ロータリーの角に佇む洋菓子店や静かな住宅の佇まいが、不思議と映画の雰囲気を醸し出す。夕刻、オレンジ色の街灯がポツポツと灯り始めると、どこからかバイオリンの調律する音が聞こえてきそうな錯覚に囚われる。架空の物語と実在の風景がこれほど美しく共鳴する場所は、日本全国を見渡してもそう多くはない。