頭部が再生しかけたその瞬間、猗窩座の脳裏を駆け巡ったのは、鬼としての記憶ではなく、人間として生きていた頃の過酷で切ない過去の記憶だった。強さを追い求め、力こそがすべてだと信じ込んできた自分自身が、実は「守りたかった大切なもの」を失った絶望から目を背けるために暴走していたことに気づかされる。
炭治郎の放った真っ直ぐな言葉と、人間の頃の自分を支えてくれた亡き師匠や愛する人の面影が、鬼としての醜い執着を打ち砕いた。自分が求めていた「強さ」とは一体何だったのか。自らの拳で自分自身を撃ち抜き、再生を拒絶して自滅を選ぶという決断は、彼の魂が最後に勝ち取った人間性の勝利でもあった。