学ラン、いわゆる男子校生の詰襟制服には通常5つのボタンが配置されている。上から2番目のボタンが「一番大切な人」へ渡す特別な品とされる最大の理由は、その位置関係にある。左胸のやや下、まさに人間の鼓動を感じる心臓の真上に位置しているからだ。
「自分の一番大切なハートを相手に託す」という詩的な寓意は、少女漫画や学園ドラマの定番プロットとして定着した。1本目のボタンは自分用、3本目は友人、4本目は家族……といった具合に、各ボタンに役割が割り振られるローカルルールまで生み出された。ボタン一つで甘酸っぱい人間関係の序列が浮き彫りになる現象は、当時の若者文化における独特のコミュニケーションシステムだったと言える。