史実における沖田総司の死は避けて通れない事実だ。結核という不治の病に倒れ、千駄ヶ谷の植木屋で静かに息を引き取る沖田。歴史漫画において、実在の人物の最期をどう処理するかは常に最大の難問となる。本作において渡辺氏が見せた解答は、まさに圧巻の一言だった。
死の恐怖や無念さだけにスポットを当てるのではなく、沖田の心の中に残された「救い」と「愛」を鮮烈に浮き彫りにした。セイという存在があったからこそ、沖田の人生は孤独な剣士の死ではなく、真の愛を知った一人の人間としての旅立ちとなった。歴史の残酷さと創作の優しさが最も美しい形で交差した瞬間である。