長門裕之が世間を大きく揺るがしたのは、1985年に上梓した著書『洋子へ』(祥伝社ノン・ブック)でした。妻である南田洋子への懺悔と愛の告白という体裁を取りながら、その中身は彼自身が過去に関係を持ったとされる女性遍歴の赤裸々な告白録だったのです。
特に読者と芸能マスコミを驚かせたのが、芸能界の一線で活躍していた実名女優たちの具体的な情事の記述でした。なかでも大きな波紋を呼んだのが、清純派の大物女優として国民的人気を誇っていた池内淳子と、長門裕之がマネジメントを手掛けていた若手実力派の仁科亜季子(当時・仁科明子)の名前でした。
著書の中では、撮影現場や密会場所での生々しいエピソードが事細かに綴られており、単なる噂話のレベルを超えた内容として報じられました。さらに、昭和を代表する複数のトップ女優や共演者との親密な関係を示唆する記述も散見され、「実名を出して過去の情事を晒す」という前代未聞の手法は、当時の芸能界のタブーを根底から打ち破る暴挙として受け止められました。