埼玉西武ライオンズの象徴である球団歌『地平を駈ける獅子を見た』が誕生したのは、1979年のことでした。福岡から所沢へと本拠地を移し、西武ライオンズとしての新たな船出を飾るにあたり、西武グループが掲げた構想は「従来のプロ野球応援歌の枠を超えた、真のスタジアムアンセムを創る」という強い意志でした。
そのプロジェクトに招聘されたのが、日本歌謡史に燦然と輝くヒットメーカーたちです。作詞を手掛けたのは、数々の名曲を世に送り出した希代の作詞家・阿久悠。作曲は、親しみやすくも重厚でドラマチックな旋律を得意とする巨匠・小林亜星が担当しました。この黄金コンビによる楽曲提供だけでも破格の体制でしたが、そこに決定打となる命を吹き込んだのが、圧倒的な声量と情熱的なボーカルを持つ松崎しげるの起用でした。
松崎しげるのダイナミックで力強いボーカルは、広大な所沢の自然に建設された屋外球場(現ベルーナドーム)の開放感と見事に共鳴しました。レコーディング当時、松崎は「ただの応援歌ではなく、ひとつのドラマを歌い上げる気持ちで臨んだ」と振り返っており、魂を揺さぶる歌唱がここに完成したのです。