予備校や進学指導の現場、知恵袋などの学習コミュニティで最も多く寄せられる疑問を検証すると、多くの受験生が「二重敬語(最高敬語)」と「二方面への敬語」を取り違えている実態が浮き彫りになります。
生徒から特によくある質問として、「『せたまふ』などの最高敬語(尊敬+尊敬)と、『参りたまふ』はどう違うのか」というものがあります。最高敬語は、天皇や中宮など1人の人物に対して極めて高い敬意を払うために尊敬語を2段重ねにする文法構造です。一方、「参りたまふ」は「中宮(客体)への謙譲」と「中納言(主体)への尊敬」という異なる2人への敬意が1組になった構造です。この対象の分離を意識できていないと、選択肢問題で確実に失点してしまいます。
また、「地の文」と「会話文」における敬意の主体の切り替えも頻出の落とし穴です。「地の文であれば筆者(清少納言)が主体」「会話文であれば発言者(隆家や定子)が主体」という鉄則を形式的に覚えるだけでなく、実際の文脈の中で即座に人物を割り振る訓練が不可欠です。