一連の惨劇を中心となって引き起こしたのが、中尾伸也と中尾知子のふたりである。経営していたリサイクルショップを隠れみのに、彼らは従業員やその親族、自らの身内に至るまでターゲットの枠を広げ、巧妙に社会から孤立させていった。親密なアプローチから始まり、次第に些細な言動を責め立て、過酷な罰金や暴力を通じて精神的に逃げ場を失わせる手口は冷酷そのものだった。
中尾伸也による苛烈な肉体的暴力と、それを陰で操り被害者の退路を塞ぐ中尾知子の計算された心理操作。この夫妻による共謀関係が、被害者を逃走不能な罠へと追い込んでいった。逆らう力を根底から奪われた人々は命令に従うことしか生き延びる道がないと思い込まされ、取り返しのつかない悲劇へと巻き込まれていったのである。