「なぜ、これほどまでに水面の色が変わるのか」。訪れる誰もが抱くこの素朴な疑問への答えは、水中に漂う目に見えない微粒子と光の物理現象にある。磐梯山の噴火に伴う泥流によって形成された湖沼群には、鉱物成分を豊富に含んだ湧水が現在も流入し続けている。
特に影響を及ぼしているのが、水中に含まれるアルミニウムや珪酸(ケイ素)などの微粒子だ。これらに日光が衝突した際、波長の短い青い光や緑の光が選択的に散乱され、人間の目に鮮やかなコバルトブルーやエメラルドグリーンとして投影される。さらに、湖底に自生する水草の分布やウカミカマゴケといった植物、湖の深さ、季節ごとの水温変化によって光の屈折率が刻一刻と変動する。五色沼の水面は固定された一枚の絵画ではなく、常に動き続ける生きたキャンバスなのだ。