静寂に包まれた閲覧室で、黄色く変色したペーパーホルダーを開く。米国の公文書記録管理局(NARA)のメリーランド州カレッジパーク庁舎には、太平洋戦争期に米第14航空隊や通信隊が押収・作成した膨大なビジュアル記録が眠る。ここにあるシリアルナンバー付きのコンタクトシートは、改ざんの余地がない一次資料として決定的な意味を持つ。
一方で、日本の国立公文書館にも、陸海軍の公務日誌や南方調書などに関連する文書群が収蔵されている。米国の軍事アーカイブが捉えた被写体の生々しい視線と、日本側の公文書が残す行政的な記録。この双方を突き合わせるクロスチェック作業によって、写真の撮影場所が特定され、背後にあった移動の軌跡が地図上に浮かび上がってくる。文字資料とビジュアル資料の立体的な結合こそが、歴史の改ざんを防ぐ最も強固な防壁となるのだ。