日が落ち、山あいに静寂が満ちる頃、客室には囲炉裏の火が赤々と灯る。ここでいただく夕食は、豪華絢爛な懐石料理ではない。地元で採れる山菜、川魚の塩焼き、そして何よりの名物が「山の芋鍋」だ。
粘りの強い地元産の山のを丁寧にすりおろし、出汁の効いた味噌仕立ての汁に団子状にして投入する。芹(セリ)やごぼう、舞茸の旨味がぎゅっと凝縮された熱々の汁を口に含めば、からだの芯からじわぐりと温まりが広がっていく。囲炉裏の炭がパチパチとはじける音を聴きながら、地酒を傾ける。これ以上の贅沢が、果たして他にあるだろうか。