この場面を読み解く上で避けて通れないのが、ベッドに横たわっていた惣流・アスカ・ラングレーとの複雑な関係性だ。ふたりの間には、互いに傷つけ合いながらも求め合わざるを得ない、過酷な精神的確執が存在していた。シンジにとってアスカは、自分を拒絶する恐怖の対象であると同時に、己の孤独を埋めてくれる唯一の理解者であってほしい存在でもあった。
しかし、意識を失い弱り切ったアスカに対して一方的に依存し、己の欲望を解消するための対象として扱ってしまったことは、彼女の尊厳を決定的に踏みにじる行為に他ならない。他者との真のコミュニケーションを恐れ、自己完結した世界に逃げ込もうとしたシンジの脆さが、ふたりの断絶をより決定的なものにしたのである。