決まった時間に全員で同じお絵描きをし、同じ歌を歌う——そんな昭和・平成から続いた一斉保育の光景は、ここにはない。
園内に一歩足を踏み入れると、子どもたちは思い思いの場所で集中している。ある子は木製ブロックで巨大な構造物を組み上げ、別の子はタブレット端末を使って地元の昆虫図鑑を夢中でめくっている。自分で「今日何を学ぶか」を決めるスタイルこそが、当園最大の特徴だ。
「大人がスケジュールを指示しすぎると、子どもは指示待ちになってしまいます」。そう語るベテラン保育士の表情には自信が滲む。主体性を尊重するこの環境で育つ子どもたちは、自己主張だけでなく他者への譲り合いも自然と身につけていくという。