食生活の改善だけでは排便が難しい場合、市販薬(OTC医薬品)を活用する選択肢があります。ただし、高齢者の身体特性に合わせた慎重な薬剤選択が求められます。
高齢者の便秘に対して第一選択として広く用いられているのが、「酸化マグネシウム」をはじめとする浸透圧性下剤です。腸内に水分を引き寄せて便を柔らかく膨張させ、自然に近い排便を促す仕組みのため、クセになりにくい(耐性がつきにくい)利点があります。
しかし、酸化マグネシウムの副作用には十分な警戒が必要です。高齢者や腎機能が低下している方が長期間・多量に服用し続けると、血液中のマグネシウム濃度が異常に高くなる「高マグネシウム血症」を引き起こす危険性があります。初期症状として、立ちくらみ、だるさ、嘔気、徐脈、傾眠(うとうとする)などが現れるため、定期的な血液検査を受けながら服用することが原則です。
一方で、センナやダイオウ、ビサコジルなどの「刺激性下剤」は、大腸の神経を直接刺激して強制的に動かすため即効性がありますが、連用すると腸が刺激に慣れて動かなくなる「結腸無力症(下剤乱用症候群)」に陥る恐れがあります。刺激性下剤は「数日間どうしても出ないときの頓服(一時的な使用)」にとどめ、常用は避けるのが安全管理の鉄則です。