読者に凄まじい衝撃を与えたのが、タカハシの浮気相手・小谷加奈子の存在と、その離婚理由です。かつてカヨコの奔放さに振り回されながらも一途に愛し続けていたタカハシですが、長年の「尽くす側」としての生活に、無意識のうちに限界を迎えていました。
浮気相手となった小谷さんは、カヨコとは正反対の控えめで地味な女性です。自己主張の強いカヨコの前では常に「受動的」でいざるを得なかったタカハシは、自分を頼り、静かに肯定してくれる小谷さんに対して、男としての自尊心をくすぐられてしまったのです。タカハシが求めたのは、刺激的な恋愛ではなく「自分が必要とされているという実感」でした。
しかし、実際に小谷さんとの同棲生活が始まると、小谷さんの過度な依存心や執着心が露わになり、タカハシは再び別の息苦しさを味わうことになります。失って初めて気づくカヨコの圧倒的な生命力と、手に入れた平穏の退屈さの間で、タカハシの身勝手な迷走が続いていきます。