スクリーンやブラウン管では近寄りがたいほどのニヒルさを漂わせていた天知茂ですが、私生活ではまったく異なる温和で誠実な家庭人でした。家族を守ることを第一に考え、妻や息子たちに対しては声を荒らげることもなく、常に深い愛情を注いでいたと伝えられています。仕事場にプライベートを持ち込まず、家庭に役柄の殺気や重苦しさを一切持ち込まない姿勢は、プロフェッショナルとしての徹底した流儀でした。
現在、天知茂が静かに眠っているのは、多くの文化人や著名人が眠る東京都府中市の多磨霊園です。墓碑には本名とともにその足跡が刻まれており、没後40年以上が経過した2026年の現在でも、命日や彼岸の時期にはオールドファンだけでなく、配信やCS再放送でその魅力に触れた若いファンからの献花が絶えません。
遺された家族もまた、天知茂が遺した膨大な作品群と俳優としての誇りを大切に守り続けています。スクリーンの中で放ち続けた孤高のダンディズムは、遺族の手とファンの記憶によって、今もなお尊厳を保ったまま語り継がれています。