料亭のような仕上がりを目指す際、最も重要なのが「衣の配合」と「油の温度コントロール」です。家庭でありがちな衣のベチャつきは、小麦粉のグルテン形成と油の温度低下が原因で起こります。
サクサクの衣を作るための黄金配合は、薄力粉80g、片栗粉(またはコーンスターチ)20g、冷水150ml、そして冷えた炭酸水大さじ2です。片栗粉を加えることで軽快な歯ごたえが生まれ、炭酸水に含まれるガスが油の中で瞬時に気化することで無数の微細な空洞が作られ、驚くほどクリスピーに揚がります。ボウルに冷水と粉を合わせる際は、菜箸で「の」の字を数回描く程度にとどめ、ダマが残る状態で混ぜるのを止めてください。練りすぎは絶対に禁物です。
衣をつける前に、ハモの切り身へ茶こしを使って薄力粉を薄く均一にはたく(打ち粉)ことも外せないポイントです。打ち粉が糊の役割を果たし、ハモから出る蒸気を閉じ込めて衣の剥がれを防ぎます。
揚げ油は、米油や太白ごま油をブレンドしたものが理想的です。温度は175℃〜180℃に保ちます。菜箸を油の底に入れたとき、箸先から勢いよく細かい泡が立ち上る状態が目安です。
ハモを油へ投入する際は、身側を下にして滑り込ませ、約30秒後に裏返して皮目を揚げます。揚げ時間は全体でわずか1分30秒〜2分程度。ハモは火が通りやすい魚であり、揚げすぎると水分が抜けてパサつきの原因になります。泡が小さくなり、パチパチという高い音に変わったら油から引き上げ、網の上で立てるように置いて余分な油をしっかり切ります。余熱で内部にじんわり火を通すことで、外はサクッと、中は驚くほどジューシーなコントラストが完成します。