なぜ今、令和の若者たちが彼の昔の姿に惹かれるのか。それは、SNS時代における「自己プロデュース」の究極の完成形がそこにあるからだ。誰もが発信者となり、自分をどう見せるかに悩む現代において、30年前に「王子」という完璧なペルソナを作り上げ、それを完璧に演じきった及川の姿は、憧れを超えて一種のバイブルのように映る。
さらに、ジェンダーの境界線が曖昧になった現代の価値観に、彼の当時のビジュアルが完璧にフィットしていることも見逃せない。メイクを施し、美しい衣装を身にまとい、自らの美意識を貫く姿勢。それは、時代を先取りしすぎていた彼の感性が、ようやく時代と追いついた瞬間だと言えるだろう。