ネット上の悪ノリが現実空間へ侵食した象徴的な舞台が、東京都世田谷区の下北沢です。元ネタとなった映像作品のロケ地(通称「聖地」)が存在することから、2010年代半ばから後半にかけて、毎年8月10日の夜になると数百人規模の若者が住宅街や下北沢駅周辺に集結する事態が発生しました。
当時、現場では大声での合唱、ゴミのポイ捨て、私有地への無断立ち入りや近隣住民に対する嫌がらせ行為が相次ぎ、深刻な地域トラブルへと発展しました。世田谷区の近隣商店街関係者は当時の様子を次のように振り返ります。
「毎年8月10日になると、奇声を上げながら住宅街を練り歩く集団が現れ、住民からの通報が鳴り止みませんでした。平穏な日常がネットの悪ふざけによって脅かされるのは耐え難い苦痛でした」
こうした事態を受け、警視庁北沢警察署は警備体制を大幅に強化。現在では毎年8月10日前後になると、警察官による重点的なパトロールと警戒線が敷かれ、不審者や集会目的とみられる若者への職務質問、滞留防止の呼びかけが徹底して行われています。
2026年現在の下北沢の状況を現地調査したところ、駅前の再開発完了と防犯カメラの増設、さらに警察の継続的な取り締まりが功を奏し、かつてのような大規模なオフライン集会は完全に封じ込められています。現場は日常の落ち着きを取り戻しており、迷惑行為の現場は現実の街から再びサイバー空間へと押し戻された形です。