フィギュアスケートは、一流選手を目指すとなれば年間数百万円から数千万円の費用がかかると言われる過酷な世界です。リンクの貸切代、個人レッスン料、遠征費、振付料、靴や衣装代など、その経済的負担は計り知れません。
裕福な家庭や実業家一族の選手も多い中、坂本家は警察官である父の給与と母のやりくりで賄う「一般的な公務員家庭」でした。修吉さんと悦子さんは、花織選手が4歳のときにNHK連続テレビ小説『てるてる家族』を観て「スケートをやってみたい!」と目を輝かせた瞬間から、娘の才能と情熱を信じて全力でサポートする覚悟を決めました。
修吉さんは休日を返上して練習場への車出しを行い、母の悦子さんは海外遠征にも帯同して精神的な支えとなりました。決して贅沢を言わず、家族一丸となって競技費用を捻出し、花織選手が伸び伸びと滑ることができる環境を整え続けたのです。この両親の深い理解と地道なサポートの経緯があったからこそ、彼女は一度もスケートを嫌いになることなく才能を開花させました。