茶の文化館を訪れる来館者の大半が目当てとするのが、館内の茶室や喫茶スペースで提供される名物「しずく茶」です。蓋付きの専用茶器(蓋碗)を用い、一煎ごとに湯温と抽出時間を変えながら、玉露の味のグラデーションを段階的に楽しむ極めて独創的な喫茶スタイルです。
一般的な緑茶のイメージを根本から覆す、しずく茶の具体的な楽しみ方は次の通りです。
- 一煎目(低温抽出の雫):約45℃前後の低温の湯をわずかに注ぎ、蓋の隙間から染み出る「一滴(しずく)」を舌に乗せます。口内に広がるのは、お茶とは思えないほど濃厚な天然のアミノ酸(旨味成分・テアニン)の凝縮感であり、出汁を飲んだかのような深いコクに驚かされます。
- 二煎目・三煎目(温度変化による香りの広がり):徐々に湯温を上げて注ぎ足すことで、一煎目の濃厚な甘味から、爽やかな渋味と芳醇な青葉の香りへと変化していく風味の移ろいを堪能します。
- 四煎目・茶葉の試食(酢醤油で食す):抽出が終わった後の柔らかい茶葉に、特製の酢醤油やポン酢を少量垂らし、おひたしのように箸でそのまま食します。高品質な手摘み玉露だからこそ可能な、茶葉を丸ごと栄養として取り込む贅沢な締めくくりです。