当時の街中を見渡せば、ロン毛にメッシュを入れた髪型、ブラウンのレザーダウンジャケット、エンジニアブーツを身に着けた若者で溢れかえっていた。彼が着こなしたアイテムは即座に店頭から消え、プレミア価格で取引されるのが日常茶飯事だったのだ。
この現象の興味深い点は、スタイリストがお膳立てした衣装だけでなく、彼自身のプライベートな好みや着こなしのアイデアが大きく反映されていた点にある。ファッション誌の表紙を飾るたびにトレンドが書き換えられ、男たちがこぞってその立ち振る舞いを真似た時代。それは計算されたマーケティングの産物というより、一人の人物が持つ圧倒的な磁力によるものだった。